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2008年4月28日 (月)

座右の書

唐突ですが、

座右の書と言えるものが、一冊あります。

それは、コミック・ONE PIECE 16巻 ルフィたちとチョッパーの出会いの話です。

つーても、読んでいない人には、何の事やらさっぱりでしょう。

このエピソ-ド自体、最近、映画化もされましたし、知名度は相当高いと思いますが、とりあえず知らない人向けに説明しておきますと・・・・。

まず「ONE PIECE」ってのは、週刊少年ジャンプ連載の、人気コミックで、海賊の一団が世界一周することで得られる、「一つなぎの財宝」すなわち「ONE PIECE」を求めて旅をする話です。最初は船長のルフィ一人だったのが、剣を口にくわえて戦う面白剣士やら、泥棒やら、ウソと射撃が得意なヤツやらを仲間に入れていきます。

で、医者を探して立ち寄った島で見つけた、医術を身につけた「トナカイ人獣」がチョッパーってわけです。

さて、あんまり詳しく書くとネタバレになっちゃうのですが、私がこの巻を座右の書とまで言う理由は、以下の二つのすごく感動したセリフがあるからです。

「いいかい、優しいだけじゃ人は救えないんだ!!

人の命を救いたきゃそれなりの知識と医術を身につけな!!

腕がなけりゃ誰一人救えないんだよ!!」

「人はいつ死ぬと思う?

心臓をピストルで打ち抜かれたとき。

違う!

不治の病に冒されたとき。

違う!

猛毒キノコスープを飲んだとき。

違う!

人に・・・忘れられたときさ」

前者は、チョッパーの医術の師、Dr.くれはの言葉。

後者は心の師、Dr.ヒルルクの言葉です。

特にくれはの言葉は、ビオトープ活動をする時には、いつも心に浮かんできます。

よかれと思ってやったことが、必ずしもその生き物のためにも、生態系のためにもならないなんてことが、いくらでもあるからです。

面白い例を一つ。

あるブログで、ブログ主が美談として紹介していた行為ですが、末期ガンで余命のない老人が、命が尽きるまでの間、せめて、命を助けてあげる行為をしたいと、毎日アサリを魚屋から購入して、海へ放していたというのです。

この行為を、どう思うでしょう?

彼の気持ちはよく分かりますし、人間からの視点で見れば、ある意味、素晴らしい美談には違いありません。

でも実は、生態学的に見れば、とんでもない悪行になってしまうのです。

まず、アサリは国産ばかりではありません。朝鮮半島や、中国沿岸産のものであれば、遺伝的形質が違いますから、日本在来のアサリにとっては困ったことです。

しかも、最近問題になっているのは、こうした輸入アサリに混じって入り込んだ、サキグロタマツメタというアサリを捕食する巻き貝の大繁殖なのです。

この貝は、もともと日本にも生息していましたが、瀬戸内海の一部にひっそりと暮らしている地味な貝でした。ところが遺伝形質が違うのか、同種とされているのに、輸入アサリに混じっていた連中は放流された浜で大繁殖し、アサリの殻に穴を開けて食べ尽くしてしまいます。

各地の砂浜で大問題となっているのです。

もちろん、すべてこの末期ガンの方のせいなワケはありません。

ここまで大繁殖しているのは、潮干狩りの需要拡大のために、輸入アサリを放流したためです。しかし、もしも前述の末期ガンの方の放流していた砂浜にまだサキグロタマツメタが侵入していなかったら??

その砂浜のアサリを壊滅させるのは、アサリの命を救おうとしたその人という事になってしまいますね。これ以上ない皮肉です。

なんとか、命をつなぐ行為をしたいと願ってした行為が、そのまま命を奪う行為になっているのですから。もし、この方に少しでもこうした生物知識があれば・・・・。

もちろん、これは一つの例に過ぎません。

この他にも、パンくずなど人間の食物を野鳥に与えたために、問題が起きるケースもありますし、ニシキゴイをため池に放流したために、水草が全滅なんて例もあります。

実際に、私の知るビオトープ池にモツゴを放したら、メダカが全滅したというので見に行ったら、モツゴではなくて、ブラックバスの幼魚だったこともあります。

大事なことは、生き物を移植、放逐することだけでなく、自然に対して何かアプローチをしようとした時には、知識や技術を深めていなければかえって、自然破壊になるということです。

そういった知識なしに、どんなによかれという気持ちを込めても、無意味です。

生物は、生物として、あるがままに生きるだけで、いっさい人間の気持ちなど配慮しませんから。

しかし、「ビオトープ」というとどうしても、感情的な部分が先行してしまう例が多く、技術的な部分が先送りにされたり、生態系配慮のためのアドバイスが、ともすると冷酷な言葉に聞こえたりしてしまいます。

でも、生態系にダメージを与えてしまった場合、取り返しのつかなさは、まさに地球レベルです。

だから、私はこのDr.くれはの言葉を、ビオトープ業務においてすごく重みのある言葉として受け止め、なにかしようとした時には、常に思い出すようにしているのです。

もちろん、これは言葉だけでなく、かなり感動的なストーリーに裏打ちされているわけですし、Dr.ヒルルクの言葉についても思うことはあるわけですが、長くなりましたし、それはまた別の機会にでも。

ただ、もしONE PIECEというコミックを見たことのない方がおられましたら、ぜひ読んで欲しいのは、この16巻ですね。

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コメント

はじめまして。
私は借りてるアパートのお庭に
ハーブやら道ばたの雑草の種やらを
放り投げ殆ど手を加えずに
放置したものを眺めるのを楽しんでいます。
初めて拝見させていただきましたが、
大変興味深い内容で
楽しく読ませていただきました。
これからも楽しみにしています。
どうも・・更新なさっていないようで
気になります 笑

投稿: りんこ | 2009年7月10日 (金) 17時07分

りんこさん、コメントありがとうございます。
ご心配いただいて恐縮です。
 更新できていないのは、まず、鬼嫁にこのブログの存在がばれたこと・・・・・・orz
 そして、それによっていつもブログを書いていた時間帯に、一階に下りてくるようになってしまったのが、大きな理由です。
 それと、会社の業務内容が微妙に変わってきたので、朝7時出社になってしまい、早朝のビオトープいじりが、毎朝はできなくなってしまったのもあります。
 しかし、庭のビオトープ自体はすこぶる順調で、二年目とは思えないほど、植物、動物、ともに種類数が増えてきました。
 なんとか、近々更新したいと思います。
 りんこさんのお庭のビオトープも、なかなか面白そうですね。石積みやスイレン鉢、樹木などでアクセントを加えてみると更に面白いですよ。
 あと、ハーブは元々が外国の雑草だった連中が多くて、すぐに野生化しちゃいますので気をつけて下さいねー。

投稿: manaty | 2009年7月10日 (金) 22時15分

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